古物商許可

帯広警察署・池田警察署・本別警察署・広尾警察署・新得警察署での古物商許可申請代行を承ります。

古物営業(いわゆる古物商)を行おうとする者は、都道府県公安委員会の許可(いわゆる古物商許可)を受けなければなりません。申請先は営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課(※)です。例えば、帯広市・幕別町・音更町・芽室町・上士幌町・士幌町・上札内村・更別村で古物商許可を取得する場合、帯広市警察署の生活安全課に書類を提出することになります。(参考:北海道警察ホームページ
※警察署によっては「刑事・生活安全課生活安全係」が提出先となります

古物商と聞くと、言葉の響きから骨董商を思い浮かべる方が多いかもしれません。

もちろん、骨董品店も古物商であることは間違いありません。しかし、リサイクルショップや中古車販売店など、古物商許可は意外と身近な許認可です。

インターネットを利用した転売について

現在、インターネット上で不要物を売買するフリーマーケットアプリ(メルカリやラクマなど)やネットオークションサイト(ヤフオク!など)等、個人間で物の売買ができる仕組みのサイトが広く普及しています。

これらのサイトを利用して商品を転売し、副業程度、あるいはそれ以上の収入を得ている方もいらっしゃることかと思います。

ところで、コロナ禍初期の買占め・転売によるマスクの高騰など、モラル意識の低さが問題視される事例がたびたび取り沙汰されるためか、転売という言葉のイメージはここ数年で急激に悪化しているように感じます。

なのでまずフォローしておくと、転売そのものは違法行為ではありません。

ただし、その転売が「古物営業」に該当する場合は、古物商許可が必要です。無許可営業は罰せられます。(3年以下の懲役または100万円以下の罰金)

インターネット上での古物売買と古物商許可

実店舗を構える場合だけでなく、インターネット上で古物営業を行う際にも、古物商許可は必要です。これは自前のホームページを使った販売に限られません。先に述べたフリーマーケットサイト(以下「フリマアプリ等」とします)やオークションサイトを利用する場合も同様です。

古物業許可はどんなときに必要なのか

では、古物商許可とはどのような場合に必要となるのでしょうか。

例として、小売店でゲーム機を買い、新品のままフリマアプリ等で転売する、というケースを考えてみましょう。なお、一連の取引は利益を得る目的で行われるものとします。

この場合、古物商許可は必要でしょうか。

これを考えるには、「古物」とは何か、そして「古物営業」とは何か、この2点について知る必要があります。

ではまず「古物」とはどのような品物を指すのか、法令の定めを見てみましょう。

「古物」とは ~新品なら大丈夫?~

古物営業法では「古物」を次のように定義しています。

一度使用された物品(中略)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。

古物営業法第二条第一項

「使用されない物品」つまり新品についても言及されていることに注意が必要です。新品であっても、「使用のために取引されたもの」であれば古物に該当します。

では、先ほどのゲーム機の例について考えてみます。

一般的に、小売店で商品を購入するのは使用のために他なりません。そのため、このゲーム機は「使用されない物品で使用のために取引されたもの」と言えます。新品ですが古物です(いわゆる新古品)。

なお、商品券、乗車券、郵便切手、劇場のチケットなども古物に該当します。

「使用のために取引されたもの」の解釈

さて、上記の例について「購入目的は転売。使用目的ではない!」と主張される方もいらっしゃるかもしれません。(それはそれで詐欺など別の問題が起こりうるため苦しい言い分ではありますが…)

しかし、その主張は通りません。

警察庁の「古物営業法の解釈基準」(平成7.9.11警察庁丁生企発第104号)上、次のように規定されています。

「使用のために取引されたもの」とは、自己が使用し、又は他人に使用させる目的で購入等されたものをいう。したがって、小売店等から一度でも一般消費者の手に渡った物品は、それが未だ使用されていない物品であっても「古物」に該当する。

警察庁「古物営業関係法令の解釈基準等」より

「転売のため」とは「売った相手に使ってもらうため」つまり「他人に使用させる目的」と言えます。なので「転売用だから使用目的ではない」という理屈は通じません。

このように、一度一般市場に出回れば、たとえ新品でも法律上は「古物」です。

すると、フリマアプリ等で流通する商品は、手作りの品物など一部の例外を除いて大半が古物ということになります。

では、古物を売買する全ての方が古物商許可を取得すべきなのでしょうか。

無論、そんなことはありません。

一連の取引が「古物営業」に該当するかどうかが、許可の要否の分かれ目です。

では次に、「古物営業」がどんな行為を指すのかについて見てみましょう。

「古物営業」とは

さて、古物営業法第二条第二項では「古物営業」を3通りの形態に分けています。第一号から第三号までのうち、一般的な「古物商」となるのは第一号です。

古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの

古物営業法第二条第二項第一号

ポイントは大きく分けて3つあるかと思います。

  1. 「売買」の他に「交換」も対象となること
  2. 「営業」として行われるものが対象となること
  3. 売却するだけ、または売却した相手からそれを直接買い戻すだけならOK

フリマアプリ等で古物を扱う場合に重要なのは2.と3.です。

「営業」とはどういう意味なのか

「営業」という言葉の意味を改めて問われると、答えるのは意外と難しいかもしれません。

一般通念上、営業とは「利益を得る目的で、同種の行為を継続的、反復的に行うこと」をいうとされています。営利目的があれば、現実に利益がなかったとしても「営業」となります。また、始めた時点で継続・反復の意思があれば、1回でやめたとしても「営業」となります。(国税庁ホームページより)

1回の取引であったとしても反復継続の意思があれば古物営業法上の「営業」にあたるとする、最高裁の判例も存在します。(最一小決昭和31年3月29日集刑112号851頁

売却するだけなら古物商は不要?

先に引用したように、古物営業法上「古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの」は、古物営業にあたらないとされています。

ただ販売するだけなら古物営業ではありません。

このことから、例として挙げたゲーム機の転売については、「他に買取業務を行っておらず、小売店で新品を購入してネットで転売するだけであれば、古物商許可は必要ない」ということができます。

「買取」の有無が、古物営業に該当するかどうかを考える際の重要なカギです。

ゲーム機の例で言うと、購入したのが新品でなく、中古品(未使用品含む)だった場合、購入者に営業の意思があれば、その取引は古物の「買取」にあたると言えます。一連の取引は古物営業に該当すると考えられるため、古物商許可の取得が必要となります。

古物商許可を取得するべきかどうか

さて、ご自身の活動は「古物営業」に該当するものだったでしょうか?

現行法上「小売店で入手した新品以外は一切扱わない」という姿勢を徹底するなら、古物商許可は不要です。

しかし、古物商許可を取得した方が、商品の幅がより広がるのは確かです。

また、小売店やメーカーにとって、転売目的の商品購入は好ましいものではありません。現在さまざまな企業が転売対策を打ち出しています。今後、その対策がより強化されていく可能性は否定できないでしょう。

事実、総務省の電気通信市場検証会議「競争ルールの検証に関するWG」が令和4年7月19日に発表した「競争ルールの検証に関する報告書 2022(案)」では、携帯電話を転売目的で購入する、いわゆる「転売ヤー」の存在が問題視されており、対策についても議論がなされています。

営利目的の転売行為を取り巻く環境は変化しつつあるのかもしれません。営業の継続・規模拡大を考えるにあたって、古物商許可の取得は大切な選択肢の一つと言えるのではないでしょうか。

古物商許可の申請方法

冒頭で述べたように、古物商許可の申請は主たる営業所の所在地を管轄する警察署で行います。十勝管内の警察署の管轄地域は次の表の通りです。

管轄警察署市町名
帯広警察署帯広市、幕別町、芽室町、上士幌町、音更町、士幌町、上札内村、更別村
池田警察署池田町、浦幌町、豊頃町
本別警察署本別町、陸別町、足寄町
新得警察署新得町、清水町、鹿追町
広尾警察署広尾町、大樹町

古物商許可申請に必要な書類

北海道で古物商許可の申請する際に必要となる書類は次の通りです。なお、必要書類は都道府県により異なる場合があります。北海道以外にお住まいの方は、必ずお住まいの都府県の警察署に必要書類をご確認ください。

書類の名称備考
申請書
(様式第1号)
様式第1号その1(ア)~その4まで、5種類。
申請者が法人か個人か、営業所が複数あるか等で必要な書類が異なります。
略歴書代表者と法人役員全員、営業所管理者の分が必要です。
兼任の場合、その人の分は1枚で可。
住民票同上。
※マイナンバーは不要です。
身分証明書同上。
いわゆる運転免許証等のことではありません。
市役所・町役場・村役場で申請して交付してもらうものです。
誓約書代表者用と法人役員用、営業所管理者用の3種類があります。
兼任していたとしても、1枚にまとめることはできません。
URLの使用権限を疎明する資料ホームページで古物を売買する場合に必要です。
プロバイダやオンラインショップ運営者からご自身専用のURLを割り当てられた場合に必要となります。

URLの届出について

ホームページを使って古物営業を行う際にはURLの届出が必要です。

これは、自前のホームページに限られません。いわゆるネットモール(Amazonや楽天市場等)上のショップページも対象です。なお、古物の売買をしない、単なる店舗紹介のようなページは届出不要です。

ここで、フリマアプリ等を利用する際の届出の必要性が問題となります。

個人アカウントでの出品ならURLの届出は不要とされていた時代もありました。しかし近年その扱いが変化してきているようです。とはいえ、まだ都道府県によって扱いに差がある状況です。

北海道でのURL届出

北海道では「ホームページを開設して古物の取引を行う場合やオンラインショップにストアを出店するなど、プロバイダやショップ運営者からご自身専用のURLを割り当てられた場合、当該ホームページ等のURLの届出が必要」とされています。

この点、フリマアプリ等の利用登録を行うと、出品中の品物や出品履歴を表示する「マイページ」が作成されます。マイページのURLは多くの場合ID毎に固有・固定のものなので、「専用のURLを割り当てられた場合」に当てはまると考えられます。

北海道警察に確認したところ概ね間違いないようで、それが「固定のURLならば」届出が必要と考えられる、とのことでした。

以上から、北海道の方がフリマアプリ等を利用して古物営業を行う際は、個人アカウントであってもマイページのURLを届け出る必要がある、と考えてよいでしょう。

行政書士による手続代行

さて、ここまで「古物とは何か」という基礎の基礎から、申請に必要な書類のことまで、古物商に関する基本的な事柄をお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。

「古物商許可は取得したいけれど、いろいろ面倒だな…」と思われた方は、ぜひ手続の専門家である行政書士にご相談ください。