鶴見行政書士事務所は、帯広・十勝で交通事故に精通した数少ない行政書士事務所です。

交通事故:死亡事案で、過失が高く保険会社が対応してくれないケース

「息子が交通事故で亡くなった。でも、息子の過失が高くて、保険会社が対応してくれない…」

●依頼者

50代 女性

●ご相談内容

18歳の息子が交通事故に遭い、救急搬送された。懸命の救命措置も空しく、3日後に亡くなった。

息子の過失が高いため、相手方任意保険会社は対応してくれない。

後日書類が送られてきて、「自分で被害者請求してください」とだけ言われた。

なかなか気持ちの整理がつかず、手続しないまま一年が過ぎた。

ただ、病院の治療費が未払いとなっていることもあり、いつまでもこのままにしておくわけにはいかないと思っている。

被害者請求の手続について相談したい。

●家族が亡くなって、冷静に手続できるか

突然、家族が交通事故で亡くなってしまったら…。そのショック、悲しみは計り知れるものではありません。

まして、今回の被害者は依頼者様のご子息。交通事故にさえ遭わなければ、まだまだ輝かしい未来が開けていたであろう、18歳という若さでした。

精神的に追い詰められた状況下で、冷静に事務手続を進めるのは、至難の業と言えるでしょう。

ただでなくても、人が亡くなると、葬儀や様々な手続などで忙殺されるものです。

そんな中、「自賠責保険への請求」という、いかにも面倒に思える手続きが後回しになってしまったとしても、それを責めることはできないと思います。

●病院からの高額な請求、自腹を切るしかないのか…?

今回の事例で最も注目すべきポイントは「過失」です。

他のページでも解説していますが、被害者側の過失が高い場合は、任意保険会社が通常通りの対応をしてくれないケースがしばしば見受けられます。

任意保険会社が対応しない以上、救命措置に要した費用の請求は遺族宛になされます。

しかし、今回の事例では治療費が約100万円(自由診療の場合の金額)に及びました。

仮に健康保険を適用させたとしても、遺族の経済事情によっては、簡単に支払うことができない金額です。

また、諸事情により、被害者側の人身傷害保険を利用することもできない状況でした。

本事例のようなケースで保障を受けるには、自賠責保険を利用する他ありません。

自賠責保険(強制保険)においては、相手方に1割でも過失が認められるような事例であれば、治療費や慰謝料等の補償を受けることが可能です。

※自賠責保険においては、手続の過程で審査機関によって過失割合が判定されます。弊所にて過失割合の判断を行うことはありません。

補償を受けるために必要なのが、被害者請求(自賠責法第16条に基づく請求)です。

今回の場合、自賠責保険からは死亡に係る損害(支払限度額3000万円)と、死亡に至るまでの傷害(治療費等。支払限度額120万円)を請求可能です。

※自賠責保険によって認定された過失割合次第では、「重過失減額」が適用され、支払限度額が減額される場合があります。

●被害者請求のやり方は…

今回、相手方任意保険会社は、自社では対応できない旨を伝え、被害者請求用の書式を遺族に送り、「自分で被害者請求してください」とだけ伝えたようです。

本事例に限らず、任意保険会社が対応できないケースでは、「被害者請求してほしい」と言うものの、その詳しい方法については教えてもらえなかった、というパターンが多いように見受けられます。

自賠責保険と任意保険が別会社というケースも多いので、やむを得ない部分もあるかとは思います。しかし、やはり被害者としては不親切に感じる部分ではないでしょうか。

●ご相談後の流れ

ご相談を受け、被害者請求手続きを受任しました。

今回は請求権者が複数いらっしゃる事案でしたので、その全員から委任状を頂き、
自賠責保険会社への被害者請求を行いました。

委任状を得るにあたり、法的判断を伴うご質問が発生した場合は、弁護士の先生にお願いして、法的知見を踏まえたご説明をしていただきました。

依頼者様および他のご遺族様には慰謝料等が支払われ、未払いとなっていた病院の治療費も無事支払われました。

手続終了後は、自賠責保険の支払限度額を超えて支払われるべきものが無いかの確認のため、弁護士の先生へ引継ぎを行いました。

本事案において、被害者請求は、交通事故が真の意味で「解決」を迎えるための重要な第一歩でした。

依頼者様の、ご家族の死を乗り越えて前を向こうとしたそのお気持ちが、事故を解決に導いたものと考えます。

●あまり放置しすぎるのは厳禁

今回は事故から1年以上経過した案件でしたので、時効の問題についても触れておきます。

自賠責保険への請求期限は、下記の通りです。

傷害に係る損害(治療費、入通院慰謝料など):事故翌日から起算して3年
後遺障害に係る損害:症状固定日翌日から起算して3年
死亡に係る損害:死亡日翌日から起算して3年

本事例の場合、死亡から約1年程度でしたので、十分に間に合うタイミングでした。

場合によっては、同様の事例で、

「治療費を自分で立て替えて、被害者請求しないまま時間が経過してしまった」

というケースも考えられるかと思います。

「あの時払った治療費は返ってくるのか?」といった疑問があれば、是非お気軽にご相談ください。

●ご家族の「死」と向き合うために

冒頭で申し上げた通り、大切なご家族が突然亡くなった状況で冷静に手続ができる方はそうそういらっしゃいません。

手続での面倒事は、是非専門家である行政書士にお任せください。

行政書士として、ご遺族のお手間、ご心労を少しでも減らすため、手続の面からお手伝いできれば何よりの幸いです。

上記事例の他、取り扱い実績多数。どんな些細なご相談でも承ります。


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