カテゴリー: 交通事故

  • 交通事故のご相談(治療費打切り)

    交通事故のご相談(治療費打切り)

    当事務所で実際に取り扱った、交通事故に関する事例をご紹介します。

    依頼者(交通事故被害者)

    40代男性 会社員

    ご相談内容

    交差点で一時停止中、後ろから来た車に追突された。

    交通事故の発生から二日後、整形外科を受診し、

    外傷性頸部症候群、頸椎捻挫、腰椎捻挫、胸椎捻挫の診断を受ける。

    その後は、仕事帰りに接骨院に通院していた。

    現在、通院期間は2ヶ月程度。相談時点で、まだ痛みは残っている。

    しかし、相手方任意保険会社からは

    「今月分までしか治療費は払えない」

    と言われた。

    私としては、症状が残っている以上は通院を継続したい。

    今後の治療費は自分で負担するしかないのだろうか。

    はじめに
    ~弁護士の先生との関わり~

    本事案は、交通事故被害者と任意保険会社の間で治療費の支払いについて意見の不一致が見られるものです。

    このような、保険会社との争いが顕在化している事案については、当事務所へのご相談と併せて、必ず弁護士の先生にもご相談いただくようお願いしております。

    当事務所では、本事案のようなケースに関しては、弁護士の先生が「被害者請求すべき事案」と判断されたものにつき、行政書士の業務範囲内において自賠責保険への提出書類の作成を承っております。

    加害者及び相手方任意保険会社との示談交渉や損害額の算定は行政書士としてお引き受けすることができません(弁護士法第72条)

    治療費打切りと言われたら

    本事案は、交通事故被害者が、任意保険会社の負担で治療を受けていたが、まだ症状が残っているのに、一方的に治療費の打切りを宣告されてしまった、というものです。

    交通事故被害者にとって、治療をうけられるかどうかは、将来の日常生活に影響を及ぼす、大切な事柄です。

    症状が良くなる見込みがあるならば、治療を受けるに越したことはありません。

    ここで「任意保険会社はいつまで治療費を支払ってくれるのか」という問題が出てきます。

    残念ながら、症状が残る限りいつまでも、というわけにはいきません。

    任意保険会社は、毎月の治療状況を見て、いずれ治療費打切りを宣告してきます。

    しかし、治療費の支払可否の判断については、任意保険と自賠責保険の判断が異なる場合もしばしば見受けられます。

    任意保険会社は「支払わない」と言ったのに、自賠責保険に被害者請求してみると支払われる、ということがあり得る、ということです。

    自賠責保険への被害者請求を利用することで、保険を利用した通院を継続できる可能性があります。

    ※被害者請求を行うことで必ずしも治療費の支払いを受けられるものではありません。また、個々の事例における法的判断については弁護士の先生の職域となります。

    被害者請求の際の注意点

    繰り返しますが、被害者請求したからといって必ず治療費が支払われるわけではありません。

    任意保険による対応から自賠責保険への被害者請求に切り替える際は、下記の点に注意が必要です。

    ①治療費は、原則として被害者が一旦立替える

    被害者請求の場合、基本的には任意保険のように「窓口負担ゼロ」とはいきません。

    原則として、被害者自身が治療費を立替え、後から返してもらう形式をとります。

    ②自賠責保険には支払限度額がある

    本事例の場合、「傷害に係る損害」の請求となり、その支払限度額は120万円です。
    ※過失割合が7割以上と認定されると2割減額されます。

    この120万円は、治療費だけでなく、通院慰謝料や休業損害等を含めたものです。

    治療が長引き、損害額の合計が120万円を超えた場合、それ以上の支払いを求めることはできません。

    治療が長引くことが想定される場合は、健康保険の利用も検討すべきです。

    なお、自賠責保険で賄いきれない分の損害は、請求可能であれば任意保険会社に請求することとなります。

    ※任意保険との示談交渉を代理で行うのは、弁護士の先生のお仕事です。

    また、支払限度額内で治療終了できた場合でも、任意保険会社に請求できる分が残っていないか、弁護士の先生へのご相談を強くお勧め致します。
    ※弊所では任意保険への請求や損害額の算定に関するご相談は承っておりません。

    ③治療費が支払われないパターンもある

    既に述べましたが、被害者請求して必ず治療費が支払われるわけではありません。

    審査の結果、「支払不能」という回答が返ってくる可能性も考えられます。

    支払不能となる理由は事案によって様々です。

    ご相談後の流れ

    上記注意点についてご説明し、ご納得いただいたうえでの受任となりました。

    被害者請求を利用して通院する間、相手方任意保険とのやり取りは弁護士の先生にお願いしました。

    結果として、事故から半年程度(治療費打切り後4か月程度)の治療費が認められました。

    お客様の症状も、日常生活に概ね支障がないレベルまで回復しました。

    手続終了後は、弁護士の先生に引継ぎを行いました。

    終わりに

    まだ症状が残っているのに治療費打切りを宣告されると、

    「どうしたらいいんだ?」

    「この痛みを抱えたまま働き続けないといけないのか…」

    など、暗い気持ちになってしまうと思います。

    でも、まだあきらめないでください。

    自賠責保険を活用することで、よりよい解決を迎えられる可能性があります。

    泣き寝入りしてしまう前に、ぜひ一度ご相談いただければ幸いです。

    上記事例の他、交通事故(自賠責保険への被害者請求)業務の取り扱い実績多数。
    どんな些細なご相談でも承ります。

  • 交通事故の後遺障害に関するご相談事例

    交通事故の後遺障害に関するご相談事例

    鶴見行政書士事務所は、帯広・十勝エリアでは数少ない、交通事故業務(自賠責保険への被害者請求による後遺障害等級認定手続)の実績豊富な事務所です。当事務所で取り扱った実際の事例を、解説を交えながらご紹介します。

    下記事例の他、交通事故による後遺障害の取り扱い実績多数。お気軽にご相談下さい。

    交通事故の概要

    赤信号で停車中の、追突事故でした。

    追突されたはずみで、前方の車両にも衝突したとのことでした。

    いわゆる「玉突き事故」の真ん中にいた状況です。

    治療開始~後遺障害等級「非該当」

    交通事故発生後、そのまま救急搬送され「頸椎捻挫」と診断されました。

    事故翌日以降は、自宅近所の外科医院に通院し、約7か月、治療を継続しました。

    その後、症状が一進一退の状況となり、「症状固定」となりました。

    後遺障害の手続は、任意保険会社に任せる形(事前認定)で行われていました。

    結果は「非該当」。

    しかし、当事務所にお問い合わせいただいた時点で、未だ日常生活に支障が出るレベルで首や腰の痛みが残っている状態でした。

    そんな状況では「非該当」という結果に納得できなくとも無理はありません。

    異議申し立て(再申請)をされるつもりでいるものの、また保険会社に任せるのは不安であることから、行政書士に相談しようと思い立ったとのことでした。

    「症状固定」と後遺障害

    症状固定とは、交通事故の後遺症が「これ以上良くなる見込みがない」あるいは「一進一退の状況となり、いつ治るのかわからない」状況のことを指します。

    交通事故から概ね半年以上経過して「症状固定」の診断を受けると、その後、保険会社から治療費の支払いは受けられません。

    後遺障害等級認定のための手続を行い、認定された等級に応じた補償を受け、事故は原則として「解決」されます。

    認定の結果、後遺障害等級に該当しない(非該当)場合は、後遺障害分の補償を受けることはできません。

    事前認定による後遺障害等級認定

    今回のご相談者様は、後遺障害等級認定手続を、相手方任意保険会社にお任せする方法で行いました。

    このやり方は、一般に「事前認定」と呼ばれます。

    後遺障害等級認定の方法についてはこちらのページ自賠責保険・共済ポータルサイト(外部リンク)もご参照ください。

    事前認定は、交通事故被害者にとって手間がかからなくて済む、というのが大きな特徴です。

    しかし、手間がかからないゆえのデメリットもあります。

    本件は、そのデメリットが如実に現れてしまった事案といえます。

    事前認定のデメリット

    「事前認定」は、任意保険会社が後遺障害の手続を代行してくれるものです。被害者は病院で「後遺障害診断書」を書いてもらうだけでよく、あとの必要書類は任意保険会社が用意して、審査機関に送付してくれます。

    確かに手間はかかりません。

    しかし、後遺障害の審査は、原則として書面のみ(醜状障害を除く)。

    書面に書かれていないことは「存在しないもの」として扱われます。

    後遺障害が適正に認定されるためには、正確な書類を作成しなけれなりません。診断書の類は医師しか作れないものですが、記入漏れや誤りがないかの確認は必要です。書面審査しか行われない以上、丁寧さが求められます。

    任意保険の担当者は何件もの案件を同時に扱っています。その関係上、丁寧に書類を確認できているかについては、疑問の余地があります。

    これは、審査機関にあるがままの症状が正確に伝わらないまま審査がなされる可能性があることを意味します。

    「痛み」「しびれ」は目に見えません。そういった目に見えない症状で悩む被害者にとって、書類が正確に作成されないことはとても大きなデメリットとなります。

    後遺障害の手続結果に納得がいかない場合は?

    今回のように、審査結果に納得ができない場合は、再申請が可能です。

    この再申請は一般に「異議申し立て」と呼ばれますが、その実は「やり直し」にすぎません。

    なお、再申請を事前認定で行うこともできます。

    ただし、その場合はやはり任意保険会社に一任する形となり、保険会社がどのような書類を提出したのかは基本的にわかりません。

    今回の場合、いちど「非該当」の結果が出ています。ご相談者様が「また保険会社任せでよいのか?」とご不安になるのも無理はありません。

    自賠責保険への被害者請求

    保険会社任せが不安な場合「被害者請求」という方法があります。

    (被害者請求についてはこちらのページもご確認ください)

    被害者請求であれば、資料を自分側で用意することができます。
    そのため、手続前に、提出書類を存分にチェックすることが可能です。

    ただし、資料を自分で用意できるというのは、言い換えれば、全て自分で用意しなければならない、ということでもあります。

    一部の職業を除き、「交通事故には慣れている」という方はまずいらっしゃいません。

    被害者ひとりでは何をチェックすべきかわからない場合が多いと思います。

    そんなときは、ぜひ鶴見行政書士事務所にご相談ください。

    当事務所では過去の認定実績に基づいて、症状が「あるがまま」伝わるような、丁寧な手続をすることが可能です。

    ご相談後の流れ

    依頼者様の症状を審査機関に正確に伝えるべく、診断書等の書類をチェックし、自賠責保険会社に被害者請求で再申請を行いました。

    結果「局部に神経症状をのこすもの」として、後遺障害第14級9号が認められました。

    手続後は、弁護士の先生への引継ぎを行いました。

    終わりに

    後遺障害の手続においては、一度で適正な評価が得られない可能性も大いにあり得ます。

    今回は、被害者の現状を丁寧に伝える手続によって、良い結果を得ることができました。

    諦めてしまう前に、一度ご相談ください。

    上記事例の他、取り扱い実績多数。どんな些細なご相談でも承ります。

  • 交通事故:死亡事案で、過失が高く保険会社が対応してくれないケース

    交通事故:死亡事案で、過失が高く保険会社が対応してくれないケース

    「息子が交通事故で亡くなった。でも、息子の過失が高くて、保険会社が対応してくれない…」

    ●依頼者

    50代 女性

    ●ご相談内容

    18歳の息子が交通事故に遭い、救急搬送された。懸命の救命措置も空しく、3日後に亡くなった。

    息子の過失が高いため、相手方任意保険会社は対応してくれない。

    後日書類が送られてきて、「自分で被害者請求してください」とだけ言われた。

    なかなか気持ちの整理がつかず、手続しないまま一年が過ぎた。

    ただ、病院の治療費が未払いとなっていることもあり、いつまでもこのままにしておくわけにはいかないと思っている。

    被害者請求の手続について相談したい。

    ●家族が亡くなって、冷静に手続できるか

    突然、家族が交通事故で亡くなってしまったら…。そのショック、悲しみは計り知れるものではありません。

    まして、今回の被害者は依頼者様のご子息。交通事故にさえ遭わなければ、まだまだ輝かしい未来が開けていたであろう、18歳という若さでした。

    精神的に追い詰められた状況下で、冷静に事務手続を進めるのは、至難の業と言えるでしょう。

    ただでなくても、人が亡くなると、葬儀や様々な手続などで忙殺されるものです。

    そんな中、「自賠責保険への請求」という、いかにも面倒に思える手続きが後回しになってしまったとしても、それを責めることはできないと思います。

    ●病院からの高額な請求、自腹を切るしかないのか…?

    今回の事例で最も注目すべきポイントは「過失」です。

    他のページでも解説していますが、被害者側の過失が高い場合は、任意保険会社が通常通りの対応をしてくれないケースがしばしば見受けられます。

    任意保険会社が対応しない以上、救命措置に要した費用の請求は遺族宛になされます。

    しかし、今回の事例では治療費が約100万円(自由診療の場合の金額)に及びました。

    仮に健康保険を適用させたとしても、遺族の経済事情によっては、簡単に支払うことができない金額です。

    また、諸事情により、被害者側の人身傷害保険を利用することもできない状況でした。

    本事例のようなケースで保障を受けるには、自賠責保険を利用する他ありません。

    自賠責保険(強制保険)においては、相手方に1割でも過失が認められるような事例であれば、治療費や慰謝料等の補償を受けることが可能です。

    ※自賠責保険においては、手続の過程で審査機関によって過失割合が判定されます。弊所にて過失割合の判断を行うことはありません。

    補償を受けるために必要なのが、被害者請求(自賠責法第16条に基づく請求)です。

    今回の場合、自賠責保険からは死亡に係る損害(支払限度額3000万円)と、死亡に至るまでの傷害(治療費等。支払限度額120万円)を請求可能です。

    ※自賠責保険によって認定された過失割合次第では、「重過失減額」が適用され、支払限度額が減額される場合があります。

    ●被害者請求のやり方は…

    今回、相手方任意保険会社は、自社では対応できない旨を伝え、被害者請求用の書式を遺族に送り、「自分で被害者請求してください」とだけ伝えたようです。

    本事例に限らず、任意保険会社が対応できないケースでは、「被害者請求してほしい」と言うものの、その詳しい方法については教えてもらえなかった、というパターンが多いように見受けられます。

    自賠責保険と任意保険が別会社というケースも多いので、やむを得ない部分もあるかとは思います。しかし、やはり被害者としては不親切に感じる部分ではないでしょうか。

    ●ご相談後の流れ

    ご相談を受け、被害者請求手続きを受任しました。

    今回は請求権者が複数いらっしゃる事案でしたので、その全員から委任状を頂き、
    自賠責保険会社への被害者請求を行いました。

    委任状を得るにあたり、法的判断を伴うご質問が発生した場合は、弁護士の先生にお願いして、法的知見を踏まえたご説明をしていただきました。

    依頼者様および他のご遺族様には慰謝料等が支払われ、未払いとなっていた病院の治療費も無事支払われました。

    手続終了後は、自賠責保険の支払限度額を超えて支払われるべきものが無いかの確認のため、弁護士の先生へ引継ぎを行いました。

    本事案において、被害者請求は、交通事故が真の意味で「解決」を迎えるための重要な第一歩でした。

    依頼者様の、ご家族の死を乗り越えて前を向こうとしたそのお気持ちが、事故を解決に導いたものと考えます。

    ●あまり放置しすぎるのは厳禁

    今回は事故から1年以上経過した案件でしたので、時効の問題についても触れておきます。

    自賠責保険への請求期限は、下記の通りです。

    傷害に係る損害(治療費、入通院慰謝料など):事故翌日から起算して3年
    後遺障害に係る損害:症状固定日翌日から起算して3年
    死亡に係る損害:死亡日翌日から起算して3年

    本事例の場合、死亡から約1年程度でしたので、十分に間に合うタイミングでした。

    場合によっては、同様の事例で、

    「治療費を自分で立て替えて、被害者請求しないまま時間が経過してしまった」

    というケースも考えられるかと思います。

    「あの時払った治療費は返ってくるのか?」といった疑問があれば、是非お気軽にご相談ください。

    ●ご家族の「死」と向き合うために

    冒頭で申し上げた通り、大切なご家族が突然亡くなった状況で冷静に手続ができる方はそうそういらっしゃいません。

    手続での面倒事は、是非専門家である行政書士にお任せください。

    行政書士として、ご遺族のお手間、ご心労を少しでも減らすため、手続の面からお手伝いできれば何よりの幸いです。

    上記事例の他、取り扱い実績多数。どんな些細なご相談でも承ります。