交通事故:保険会社に後遺障害の手続を任せたら非該当。納得ができない。

【概要】

●依頼者

20代男性 会社員

●ご相談内容

赤信号で停車中、後ろから来た車に追突され、そのはずみで前方の車両にも衝突した。

いわゆる「玉突き事故」の真ん中にいた状況。

そのまま救急搬送され、頸椎捻挫と診断される。

事故翌日以降は、自宅近所の外科医院に通院。

約7か月の治療を受け、症状固定。

後遺障害の手続は、任意保険会社に任せる形(事前認定)で行った。

結果は「非該当」。

しかし、未だ日常生活に支障が出るレベルで、首・腰の痛みが残っている。

非該当という結果にはとても納得できない。

異議申し立てが可能と聞いたが、また保険会社に任せるのは不安なので、専門家に相談した。

【行政書士による解説】

●後遺障害の手続

交通事故から概ね半年以上経過して「症状固定」の診断を受けると、その後、保険会社から治療費の支払いは受けられません。

後遺障害等級認定のための手続を行い、認定された等級に応じた補償を受け、事故は原則として「解決」されます。

ご相談者様は、後遺障害等級認定手続を、相手方任意保険会社にお任せする方法で行いました。

このやり方は、一般に「事前認定」と呼ばれます。

手間がかからない一方、状況によってはデメリットもあり、
本件は、そのデメリットが如実に現れてしまった事案といえます。

●事前認定のデメリット

「事前認定」は、任意保険会社が後遺障害の手続を代行してくれるものです。
被害者は病院で「後遺障害診断書」を書いてもらうだけでよく、
あとの必要書類は任意保険会社が用意して、審査機関に送付してくれます。

確かに手間はかかりません。

しかし、後遺障害の審査は、原則として書面のみ(醜状障害を除く)。

書面に書かれていないことは「存在しないもの」として扱われます。

後遺障害の手続に際しては、審査機関に正確な情報が伝わるよう、情報に漏れがないか確認して誤りがあれば修正する等、丁寧な書類作成がなされるべきです。

任意保険の担当者は何件もの案件を同時に扱っています。その関係上、十分に丁寧な書類作成がされているかという点については、疑問の余地があります。

これは、審査機関にあるがままの症状が正確に伝わらないまま審査がなされる可能性があることを意味します。

「痛み」「しびれ」は目に見えません。そういった目に見えない症状で悩む被害者にとって、書類が正確に作成されないことはとても大きなデメリットとなります。

●結果に納得がいかない場合は?

今回のように、審査結果に納得ができない場合は、再申請が可能です。

この再申請は一般に「異議申し立て」と呼ばれますが、その実は「やり直し」にすぎません。

なお、再申請を事前認定で行うこともできます。

ただし、その場合はやはり任意保険会社にお任せする形となり、
保険会社がどのような書類を提出したのかは基本的にわかりません。

今回の場合、いちど「非該当」の結果が出ています。ご相談者様が「また保険会社任せでよいのか?」とご不安になるのも無理はありません。

保険会社任せが不安な場合「被害者請求」という方法があります。

被害者請求であれば、資料を自分側で用意することができます。
そのため、手続前に、提出書類を存分にチェックすることが可能です。

しかし被害者ひとりでは何をチェックすべきかわからない場合が多いかと思います。

この点、当事務所では過去の認定実績に基づいて、症状が「あるがまま」伝わるような、丁寧な手続をすることが可能です。

異議申立を検討される際は、是非ご相談下さい。

【ご相談後の流れ】

依頼者様の症状を審査機関に正確に伝えるべく、診断書等の書類をチェック。

自賠責保険会社に被害者請求で再申請を行いました。

結果「局部に神経症状をのこすもの」として、後遺障害第14級9号が認められました。

手続後は、弁護士の先生への引継ぎを行いました。

【終わりに】

後遺障害の手続においては、一度で適正な評価が得られない可能性も大いにあり得ます。

今回は、被害者の現状を丁寧に伝える手続によって、良い結果を得ることができました。

諦めてしまう前に、一度ご相談ください。

上記事例の他、取り扱い実績多数。どんな些細なご相談でも承ります。


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